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印持ちは、5mほどの長さの竹竿の先に直方形の提灯のような張り紙をつけたものをもちます。 この紙の四面のそれぞれに「今月今日」・「町内安全」・「高向神社」・「町会名」と書いています。今年は中町が担当されました。
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猿田彦命は、天狗の面と白髪、腰に太刀を提げての装束を付け、手には御幣を持ちます。
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太刀持ちは、朱の袋をかぶせた太刀を持ちます。
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長刀持ちは、長刀部分を朱の袋をかぶせ束の部分を担ぎます。
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槍持ちは、三つ叉のような疑似槍を担ぎます。
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熊毛持ちは、先端に黒毛のついた棒を持ちます(毛槍のようなものか?)。
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提灯持ちは、長提灯を持ちます。
このお練りは、上記の順序で行列を組んで、他の者よりも一番最初に境内に入ります。社殿の前に来ると、印持ちが大きな声で次のように語りながら印の竹竿の下端でトントンと大地を叩きます。そうすると上端の直方形の部分から紙吹雪が舞い落ちます。
「今年は豊年大豊年、二百十日に風もなく、畦豆一本怪我はない。ああ、よいとまかせ、ああ、よいとまかせ。」
この語りは、毎年同じことを言います。
お練りの目的はハッキリとしませんが、祭神のご加護により今年は豊作と町内安全であったことを報告し、来年も五穀豊穣と町内の人々の無病息災・安全を祈願するものと考えられます。しかし、印持ちが社殿前での語り言葉で、豊作凶作にかかわらず同じことを言うのは、神を欺すことにならないのか。このようなことを言わなくても神は、既にお見通しであるはずである。それなのに、毎年同じことを言うのは、神へのご機嫌取りであろう。
なぜ、猿田彦命がお練りに加わっているのでしょうか。猿田彦命は古事記の天孫降臨の際、皇孫を道案内をしたとされる故事にのっとって、道案内の神とされたことから、宮入では真っ先に境内に入場するものとされてたのでしょう。また、延命長寿の守護神、農耕開拓の祖神・守神、出世や開運の神ともされているので、お練りの一員、いや主メンバーの役割を背負っているものと考察されます。
猿田彦命の身体特徴が「鼻長八咫、背長七尺」の記述から天狗の原形とされる。